乙女西瓜
乙女西瓜
乙女西瓜(おとめすいか)という愛らしい名前の小玉スイカがあります。
腰高で少し縦長の形で、立てて置いているとその形の良さが引き立ちます。
表面の皮には縞模様があるのですが、
濃いグリーンのラインが一般的な縞模様のあるスイカよりも細いです。
個体差も多少出るので、株によってはラインが細く薄い場合もあり、
一見するとスイカに見えないこともあります。
けれど実際に切ってみると、中はスイカそのものです。
鮮やかな赤い果肉に、黒い種が入っていて食欲をそそります。
皮は薄く、皮際の白い部分も少ないため、
小玉種といってもたっぷり味わうことができます。
1玉がだいたい2kg~2.5kgほどになるので、
一人でも少人数でもちょうど楽しめるサイズです。
小玉サイズなら、家庭用冷蔵庫でも、丸ごと入れて冷やしておけます。
玉ごとに甘みの差はでにくいのですが、
甘みが特に強いというわけではないので、あっさりとしています。
果肉も硬くなく、どちらかというと柔らかい食感で、
スイカ特有のシャリ感が控えめなので、口当たりが優しいです。
受粉させてから25日くらいで収穫できる極早生品種です。
3月頃から種を播き、トンネルやハウスで育てれば、
早いうちから実を収穫することができます。
気温が十分に上がってから種播きしても、
夏の暑い盛りにちょうど収穫できるのも嬉しい特徴です。
スイカ栽培に初めて挑戦する人や、
最近主流の糖度の高いスイカよりあっさりめのスイカが好きな人は、
乙女西瓜は育てやすいのでお勧めです。
■乙女西瓜
◎特徴
・明るいグリーンに濃いグリーンの細いラインが入る縞模様
・やや縦長の形をしている
・皮は薄く、果肉がぎゅっと詰まっている
・果肉は鮮やかな赤色で、果肉は硬くなく口当たり柔らか
・甘みに玉差があまりないがあっさりした味わい
・着果性が良く育てやすい
・1玉2kg~2.5kgの小玉種
・受粉から25日ほどで収穫可能
・固定種なので採取した種で翌年も栽培可能
◎栽培のコツ
・一般的な小玉スイカの育て方に準ずる
■参考
・スイカ 地植えの育て方
・スイカ プランターの育て方
・スイカ 鉢での育て方
・小玉スイカ 地植えの育て方
・小玉スイカ プランターの育て方
紅大
紅大
紅大(こうだい)という、球形よりも少し縦長の形をしたスイカがあります。
ナント種苗(株)の名高い大玉スイカです。
実の形自体は少し縦長ですが、表面の模様や大きさは、
日本人がイメージするスイカそのものです。
また、切った時の断面がたいへん美しいのも、紅大西瓜の特徴です。
緑色のストライプをした皮、その内側に真っ白な部分があり、
そこから先は鮮やかな濃い桃色の果肉が詰まっています。
この緑・白・濃い桃色(赤)のコントラストがとてもはっきりしているので、
切った時に見栄えがし美味しさが増します。
販売する場合は、丸ごと販売はもちろん、
カットして断面を見せて売るのも効果的です。
紅大が素晴らしいのは、見た目だけではありません。
濃い赤桃色をした果肉は、繊維質が少ないものの実はしっかりと締まっています。
繊維が少なくても、果肉が少し硬めなので、
実が崩れたり割れたりといったことが少ないです。
締まっているからといって硬すぎることはなく、
スイカを食べた時のシャリシャリッとした食感を存分に楽しめます。
食感もさることながら、味も抜群です。
紅大は甘みが強く、平均して12度~13度もあります。
濃いスイカの風味と甘みはあるものの、水分もたっぷりと含んでいるので、
甘ったるい印象はありません。
真夏の暑い時に、冷えた紅大を食べれば、素晴らしいご馳走になります。
味が良いスイカは、育てるのが難しそうに思えますが、
紅大は耐病性もあって着果率も良いので、
今まで大玉スイカ栽培に失敗してきた人にもお勧めです。
低温期のツルの伸びが良く、着果後のツルの伸びも悪くないので、
植え付け後から収穫まで草勢があまり変わらず、管理しやすいのも嬉しいところです。
葉は比較的小さめですが、色が濃いので肥料切れには気をつけます。
実の大きさは、収穫する時期で変わります。
3月~4月収穫で4kg~5kg、5月~6月収穫で6kg~8kgになるため、
求めるサイズに育てるのに便利です。
ハウスやトンネル栽培では、他の品種に比べて少し温度を高めにして育てると、
着果率も実の肥大具合も良くなります。
だいたい1度~2度高めにするとちょうど良いので、
昼間の換気を減らすとうまくいきます。
■紅大
◎特徴
・3月~4月収穫なら中玉に、5月~6月収穫なら大玉に生長する
・皮は縞模様で、濃い緑と薄い緑がはっきりと分かれている
・中は濃い赤桃色で、皮の際にある白い部分とのコントラストも美しい
・果肉は糖度12度~13度と甘みが強い
・硬めの肉質でシャリ感が強く、抜群の食感
・実の形はやや縦長の高球タイプ
・耐病性がある
・低温期のツルの伸び、着果率が良い
・ツルや葉はやや小型で色は濃い
◎栽培のコツ
・ハウスやトンネル栽培に向く
・他品種に比べ、1度~2度温度を高くして育てると、着果後の肥大が良くなる
・草勢が強い品種ではないが、葉色が濃いので肥料切れに注意
・3月~4月収穫は4kg~5kg、5月~6月収穫は6kg~8kgになる
■参考
・スイカ 地植えの育て方
・スイカ プランターの育て方
・スイカ 鉢での育て方
・小玉スイカ 地植えの育て方
・小玉スイカ プランターの育て方
新大和2号西瓜
新大和2号西瓜
新大和2号西瓜は、1935年に育種されてから人気を保っている品種です。
もともとはスイカ特有の縞模様がない大和という品種と、
アメリカからやってきた縞模様のあるスイカ品種である甘露を、
かけあわせて新大和という品種ができました。
この新大和という品種はF1品種のため、1代では有効な性質が出るものの、
2代目からは性質が受け継がれないことがある品種だったのです。
これを固定化させてできたのが、新大和2号西瓜なので、
新大和2号西瓜は2代目も3代目も親と同じ性質の株が育つ固定種となりました。
新大和2号西瓜は、実の大きさ自体は大玉というよりも中玉くらいの大きさです。
あまり大き過ぎると、消費するのに困る、
けれど小玉だと満足できないという方にぴったりかもしれません。
だいたい実の重さが5kg~6kgほどになるので、
家庭菜園で大玉を育てたい人にもチャレンジしやすいのではないでしょうか。
スイカ栽培が初心者の方が心配な、スイカがかかりやすい病気である、
炭疽病やツル割れ病などにも耐性があります。
また、皮が硬めなので玉割れしにくいのも魅力的です。
現在主流になっている人気の品種に比べると、シャリ感が少し劣ります。
その分肉質が柔らかいので、口当たりが優しいのも新大和2号西瓜の特徴です。
ただ、肉質の柔らかさから、完熟を過ぎると果肉の割れが起きやすくなるようです。
果肉の割れは甘さの目安といわれることもあるので、
果肉に割れがあったとしても、スイカの甘さと香りとみずみずしさは楽しめます。
商業用に栽培しているのであれば、果肉の割れは良くありませんが、
家庭菜園で楽しんで食べるのであれば、問題のない範囲かと思います。
表面の皮は、緑と黒に近い濃い緑のストライプ柄です。
形も完璧な球形というよりは腰高で、スイカとして美しい形をしています。
また、中の果肉は鮮やかな赤で、切ると皮の緑、果肉と皮の間の白い部分、
それから真っ赤な果肉と、イメージするスイカそのものを見ることができます。
味よし、見た目よし、さらに病気に強いので育てやすく、
玉が大きすぎないので初心者でも扱いやすいと、良いところがたくさんあります。
スイカを育ててみたいけれど、大玉は扱いにくそうと感じている人、
以前に病気が出てスイカ栽培がうまくいかなかった人は、
新大和2号西瓜にチャレンジしてみてはいかがでしょう。
■新大和2号西瓜
◎特徴
・スイカらしい縞模様
・1玉5kg~6kgほどの中玉よりの大玉種
・果肉は鮮やかな赤色で、カットすると見栄えがする
・シャリ感がやや少ないものの、甘さと果肉の柔らかさでカバー
・皮が硬めで丈夫なので玉割れしにくく、輸送にも耐えられる
・炭疽病やツル割れ病に耐性がある
・古くから全国的に栽培されている人気固定種
◎栽培のコツ
・受粉から50日ほどで完熟する
・完熟した後は実割れしやすくなるので早めに収穫する
・固定種なので味が良かった実の種を残しておき、翌年に栽培することが可能
■参考
・スイカ 地植えの育て方
・スイカ プランターの育て方
・スイカ 鉢での育て方
・小玉スイカ 地植えの育て方
・小玉スイカ プランターの育て方
銀大和西瓜
銀大和西瓜
銀大和西瓜(ぎんやまとすいか )という名を聞いたことがあるでしょうか。
昔は珍しさから人気があった品種なのですが、
現在では栽培している農家もほとんどなく、幻のスイカとされている品種です。
以前に人気があった理由は、果肉の色でした。
銀大和西瓜は、分類するとすれば果肉が黄色いスイカになると思うのですが、
黄色というには色があまりにも薄く、
ほとんど白といっても過言ではない果肉の色をしています。
果肉の色が白っぽく、まるで銀白色に見えることから、銀大和西瓜と名づけられ、
珍しさと親しみを込めて銀スイカと呼ばれることもあります。
この銀大和西瓜の流通が減ったかというと、それは育て難さと食味にあります。
銀大和西瓜はとても皮が薄く、長雨に当たったり、強い直射に当たり続けると、
割れたり変色したりすることが多いのだそうです。
手間の割りに販売できる実が収穫できる数が少ないため、
育てる農家が減り、流通量も激減したというわけです。
また、最近のスイカの流行は、
スイカ特有の香りとシャリ感の強い食感、それから強い甘みです。
ところがこの銀大和西瓜は、香りがマイルドでシャリ感が薄く、
どちらかというと柔らかい肉質をしています。
そして現在主流のスイカのような強い甘みがなく、ほのかな甘みしかありません。
最初は果肉の色が珍しいということでもてはやされていた銀大和西瓜ですが、
最近の流行とは違う上に、育てにくいという理由で、幻のスイカとなったのです。
そんな銀大和西瓜ですが、ファンは今でもいます。
見た目は純然たるスイカの縞模様をしているのに、
切ってみると中は白い果肉のギャップが面白く、
またその美しい断面に惚れ込んでいる人もいます。
スイカ特有の香りやシャリ感が少なくても、柔らかい食感を好み、
甘ったるくない味わいが良いという人もいます。
ほとんど流通することのない幻のスイカのため、
家庭菜園で栽培に挑戦する人が少しずつ増えているようです。
種の販売は今でもあるので、
一度白いスイカの栽培にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
大玉ほど大きくならないため、受粉から収穫までの期間が短く、
スイカ栽培初心者の方でも扱いやすいのも魅力です。
小玉スイカなら、人数が少ない場合でも満足できますし、
贅沢に独り占めすることも可能です。
流通している間に割れてしまうこともあるほど薄い皮の銀スイカを、
収穫してすぐに冷やして食べられるのは、家庭菜園ならではです。
■銀大和西瓜
◎特徴
・表面の皮はスイカらしい縞模様
・中は白~黄色味を帯びたクリーム色
・シャリ感が少なく、とろけるような柔らかい食感
・糖度があまり高くなく、甘みが淡い
・皮はごく薄く、際まで果肉が詰まっている
・1玉2.5kg~4kgほどの小玉タイプ
◎栽培のコツ
・その他の小玉スイカと同じ育て方で問題なし
・長雨や強い直射日光に当てると割れやすくなる
・収穫はひげヅルの枯れ具合や音、色など総合的に判断する
■参考
・スイカ 地植えの育て方
・スイカ プランターの育て方
・スイカ 鉢での育て方
・小玉スイカ 地植えの育て方
・小玉スイカ プランターの育て方
旭大和西瓜
旭大和西瓜
古くから人気のあるスイカに、旭大和西瓜(あさひやまとすいか)があります。
このスイカは、大玉よりも小さく小玉よりも大きい、中玉サイズになる品種です。
スイカと聞いてイメージするのは、緑と濃い緑の縞模様ですが、
旭大和西瓜には縞模様がほとんどありません。
皮は緑色で、それよりも濃い緑で、うっすらと網状のまだら模様が入っています。
柄はあまり目立たない上に、一般的なスイカのような縞模様とは違うので、
見ただけではスイカとは分からないことも多いようです。
見た目は地味なスイカですが、切って食べてみれば、
古くから引き継いで育てられてきた理由がよく分かります。
甘さは改良したF1種にも劣らず、糖度が12度前後もあります。
糖度12度前後は、スイカにしては甘みが強い部類に入ります。
でも旭大和西瓜の人気は、甘さだけではありません。
スイカらしいシャリシャリとした食感と、爽やかな風味の強さも人気の秘訣です。
甘みの強い品種は、真夏の暑い時期に食べると少しべたつきますが、
旭大和西瓜はシャリシャリとした小気味良い食感のおかげで、
さらっと食べることができます。
甘くて、みずみずしくて、食味の良いスイカなら、飽きることなく食べられますね。
旭大和西瓜は、中玉タイプのスイカで、実の大きさはだいたい6kgほどです。
一人で食べきるには大きいサイズですが、家族で食べるなら十分です。
友達や親戚が集まる日でも、大玉よりもスペースをとらないので、
保存や冷蔵が楽になります。
■旭大和西瓜
◎特徴
・実の大きさは6kg前後の中玉サイズ
・果肉の色は鮮やかな赤色で食欲をそそる
・糖度12度と甘みが強い
・皮には縞模様がなく、うっすらとした斑線の模様がある
・食味の良さからF1種の母親になることが多い
◎栽培のコツ
・受粉から収穫までは約50日
・連作を嫌うため、自根栽培の場合は6年は間をあける
・固定種なので種をとって育てれば親と同じおいしい実が収穫できる
■参考
・スイカ 地植えの育て方
・スイカ プランターの育て方
・スイカ 鉢での育て方
・小玉スイカ 地植えの育て方
・小玉スイカ プランターの育て方