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スイカ カルシウム欠乏
元気に育ったスイカたち
スイカを健全な状態で育て、大きくておいしい実を収穫するためには、
十分な養水分が必要になります。
必要となる養分にも種類があり、窒素・リン酸・カリが基本となります。
これらの養分以外にも、微量要素と呼ばれる養分もあり、
どれが欠けた状態でもうまくは育ちません。
その中でも、カルシウムが不足した状態になると、
スイカはカルシウム欠乏の状態になります。
スイカのカルシウム欠乏の症状や原因、対策などをまとめました。
[スイカ カルシウム欠乏]
■主な症状
・葉の黄化や激しい巻き
カルシウム欠乏になると、スイカの葉に色々な症状が出始めます。
葉が黄色や白っぽく変色し、全体に色が抜けたようになりますが、
葉脈だけは緑色が残ります。
また、葉の縁の部分は薄い茶色に変色し、壊死状態となります。
葉全体の様子もおかしくなり、葉の縁だけではなく、
葉全体が反り返る落下傘葉と呼ばれる状態となります。
さらに、生長点付近の新しい葉は小型で変形し、新芽の形成が抑制されます。
・葉に斑点
スイカのカルシウム欠乏の症状は、
どちらかというと上位葉や新芽部分に出ることが多いですが、
中位葉にも症状が出ることがあります。
葉脈間の黄化や白化が見られる他に、
2mm~3mmほどの小さな斑点ができることもあります。
・果実の軟化と尻腐れ症状
スイカがカルシウム欠乏になると、実にも大きく症状が出ます。
肥大した実の皮が柔らかくなり、
中の果肉もスポンジのようにスカスカになっていきます。
さらに症状が進むと、果皮が柔らかくなりすぎたために割れが生じ、
中から赤い汁が垂れてきます。
状態が悪ければ、実の下半分が水浸状に傷んだようになり、
尻腐れのような症状が出ることもあります。
■主な原因
・塩類や窒素が多い
土中にカルシウムが十分に含まれていたとしても、
カルシウムが吸収できないことがあります。
その原因の1つが、塩類や窒素が土中に多く存在していることです。
塩類や窒素が多く土に含まれていると、カルシウムの吸収が阻害され、
カルシウム欠乏の症状が出ます。
・過乾燥
塩類や窒素が多い状態でなくても、土が極度に乾燥した状態が続くと、
根がうまく機能せず、カルシウム欠乏の症状が出ます。
・根傷み
過乾燥以外にも、過湿によって根が傷んでしまえば、根の機能が低下するため、
必要な養水分を吸収できず、カルシウム欠乏となります。
■対策
・土の調整
基本的に、土栽培であれば、塩類が極端に蓄積されることは稀です。
どちらかというと、ハウスなどの施設栽培では、塩類が蓄積されやすいので、
注意が必要です。
塩類が蓄積されている可能性がある場合は、土の調整を行いましょう。
塩類は、水を流すことによって一緒に流れ出やすくなります。
スイカ栽培が終わった後、畑を休ませている間に水を流しておくことで、
塩類濃度が下がります。
特に、雨が当たらないハウス内などは、蓄積を防ぐことができるのでお勧めです。
・施肥設計
窒素が過剰になると、どうしてもカルシウム欠乏になりやすいですし、
ツルボケ状態にもなりやすいです。
まずは、使っている肥料の成分を確認しましょう。
窒素が極端に多いものでないかどうか、
また、与える量もきちんと計算し、適正量を施用することが大切です。
・適度な灌水
スイカはもともと砂漠で自生していた植物のため、乾燥には強いです。
けれど、実を収穫するために栽培するのであれば、栽培中は適度な灌水が必要です。
スイカが乾燥に強いからといって、あまりにも乾燥させすぎると、
根が傷んだりカルシウムがうまく吸収できず、カルシウム欠乏になります。
化成肥料などは、水に溶けることによって、植物の根から吸収されます。
そのため、過乾燥の状態を続けていると、与えているはずの肥料も効かず、
生育不良となるケースもあります。
乾燥しないようにと、水を与えすぎるのもいけません。
スイカの根は過湿に弱く、根傷みが激しくなると、
着果しないうちに枯れることもあります。
肥料と同じ、水分も適正量を与えるように心がけましょう。
■判断基準
カルシウムは、吸収された後に一度スイカ内で定着すると、
そこから移動することはほとんどありません。
そのため、カルシウム欠乏は下位葉よりも上位葉に症状が出やすいのが特徴です。
不足するとその後の生育に影響するため、
まずは症状が出ないよう予防しておきましょう。
■参考
・スイカ 地植えの育て方
・スイカ プランターの育て方
・スイカ 鉢での育て方
・小玉スイカ 地植えの育て方
・小玉スイカ プランターの育て方
・スイカ 吊り栽培