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つるボケ対策
つる先が上を向き葉色が濃いのは、つるボケの兆候
つるボケとは、スイカなどの果菜類が育つ時、
枝葉やつるばかりが伸び、花付きや実付きが悪くなることを指します。
つるボケの見分け方は? そして、防止する対策をご紹介しましょう。
[つるボケ対策]
■つるボケとは?
スイカやキュウリ、ゴーヤなど、つる系の野菜の場合は「つるボケ」と呼ばれ、
トマトやナスのような野菜の場合は「樹ボケ」と呼ばれることが多いです。
つるボケになると、正常な状態に戻すのに時間がかかります。
スイカの場合、つるボケになると、
雌花と雄花が両方開花するタイミングがとれず、着果が遅れます。
着果する位置がつるの先になればなるほど、実の生育が悪くなりがちです。
さらに、雌花と雄花が両方同日に咲くことなく、受粉できないこともあります。
最悪の場合は、雄花も雌花もつかずに終わることもあり、とても厄介です。
スイカは1株で収穫できる実の数が、プロの農家さんでも、
大玉スイカで2個、小玉スイカで3~4個くらいと限られています。
つるボケは、病気ではありませんが、スイカ栽培では致命的なこともあります。
■つるボケの特徴
スイカのつるボケ状態は、どのような特徴があるのでしょうか。
・葉色が濃い
スイカの葉色は、品種によって多少の差があります。
けれど、明らかに色が濃すぎる場合は、つるボケの兆候があります。
つるボケになる原因の1つに、窒素過多があります。
窒素が多い状態で育ったスイカは、葉色が濃いのが特徴です。
定植した時に比べ、だんだんと葉色が濃くなっている場合や、
明らかに葉色が濃すぎる場合は、つるボケの可能性があります。
・つる先が上を向き過ぎている
スイカの生長具合を見る時、つるの先を見るようにします。
つるの上向き方や伸び方によって、つるボケ状態かどうかが分かります。
1. 当日に咲いている雌花の位置からつる先が60cm以上ある
2. 節間が20cm以上ある
3. つる自体が太く、先端が45度以上に高く持ち上がっている
この3つの特徴に当てはまっていると、つるボケを起こしている可能性が高くなります。
つる先の10~15㎝が持ち上がるのが肥料が適正な状態
■つるボケ対策
まず、つるボケにならないように、肥料を適正にします。
またつるボケになった時に、いかに早期発見し対策するかで、
正常に戻せるかどうかが決まります。
・肥料過多に注意する
つるボケを予防するための基本は、肥料の与え方です。
スイカは肥料過多になると、つるボケを起こしやすくなります。
肥料成分の中でも、窒素が多いと、つるボケになる可能性が高いです。
窒素は、枝や葉、つるを伸ばすための肥料成分です。
そのため、窒素が過剰だと、つるや葉だけが生長し、花をつけなくなります。
株が生長するために、適度な肥料成分は必要ですが、
必要以上な追肥は肥料過多となり、つるボケを助長します。
苗を定植した後は、元肥だけでしばらく生長できるので、
最初の雌花が咲くまでは追肥は不要です。
摘果にもタイミングがあります
・摘果を早めない
通常の状態で株が生長している場合は、
複数のつるにいくつかの実がついている状態となっています。
そこから生長の良いものを選んで残し、あとは摘果をします。
摘果をすることで、余計な体力を消耗せずに済むので、
他に残った実を充実させることができます。
ところが、状態が良くなく、少し貧弱に育った株を見て、
余計な体力を使わないように、通常より早めに摘果をしたとします。
一見すると、早めに摘果をすれば、スイカが楽になるように見えますが、
これがつるボケを起こす原因となることがあります。
野菜には、つるや葉を茂らせる栄養生長と、花や実を付ける生殖生長があります。
弱い株の摘果をすると、生殖生長を抑制した状態となり、栄養生長が強まります。
栄養生長が強く、つると葉の生長が促されてしまい、つるボケとなるのです。
他に着果していたり、既にたくさんの雌花をつけている状態であれば、
栄養生長が強まることはほとんどありません。
・追肥を止め流亡を促す
肥料過多によるつるボケを起こした場合、大量に肥料を与えていないのであれば、
追肥を止めておくことで、正常に戻ることがあります。
なかなかつるの勢いがおさまらない時は、
土中に残っている肥料成分を水で流してみましょう。
スイカがよく生長する時期であれば、気温はもう高くなっているはずです。
水やりも毎日になることが多いですが、この時に与える水の量を増やします。
3日~5日ほど、毎日大量の水を与えることで、
肥料成分がどんどん水に溶け出ていき、流れていきます。
こうすることで肥効を弱め、つるボケを改善できる可能性が高まります。
栄養生長と生殖生長のバランスをとるのがスイカの醍醐味です
・孫づるを摘む
摘果をすることで栄養生長が盛んになるのと同じ理由で、
つるを摘むことで栄養生長から生殖生長を促すこともできます。
ただし、発生した孫づるを無差別に摘んでは、
スイカの樹にストレスがかかり、さらに仕立てにくいです。
1株あたりどれだけの子づるを残して仕立てるか、までは通常と同じです。
その後、子づるに発生した孫づるは、本来は放任することが多いのですが、
この孫づるを、少しずつ摘むようにします。
栽培収量まで摘み続けるということではなく、
つるボケの症状が改善するまで、孫づるを摘むことで、
生殖生長を促し、花芽をつけさせたり、着果率を上げることができます。
無事につるボケの症状が改善し、着果できた後は、
孫づるは放任するようにします。
■参考
・スイカ 地植えの育て方
・スイカ プランターの育て方
・スイカ 鉢での育て方
・小玉スイカ 地植えの育て方
・小玉スイカ プランターの育て方
・スイカ 収穫時期の見分け方